2010年3月アーカイブ

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先週ぐらいからペットにまつわる仕事をしている

不思議なもので、というのも不謹慎かもしれないが

今日の夕方、実家から連絡があって

飼っていた犬が突然の心臓発作で死んだと聞かされた

ラブラドールのメス

今年で丸13年

この犬種としては十分長生きな方らしい

最後に会ったのは正月に帰った時

庭でタバコを吸ってると

足下にまとわりついてきて

早く体をなでろ!と言わんばかりに甘えてきた

いつもそうやって全身をこすりつけてくる

体をかいていると足をバタバタする時がある

そこがかゆくて気持ちいいというサイン

だと勝手に解釈していたので

そーゆー時はそこを重点的にかいてやった

かくのを止めると濡れた鼻で手を突っつき

もっと続けろ!とでも伝えるかのよーだった

ラブラドールは大型犬だが子犬の頃は信じられないほど小さい

歯が尖っていてかゆさを紛らわすために何にでも噛みつく

この頃に甘噛みの力加減を覚えさせないといけないので

ワザと噛ませて痛がり、叱りつけて少しずつ覚えさせるのだ

13年前、大型犬とは思えないほどちっこい相手にそんなことをしていたが

その頃のワタクシは、頭にタオルを巻いて

ドカジャンを着込み、安全靴を履いて電線工事の現場へ朝早くから向かっていた

どうしてもコピーライターとして再就職したくて、行きたくもない講座に通い

受けたくもない授業を教室の隅っこで見つめながら、

いっこうに決まらない就職に不安を覚えつつ日々を過ごしていた

作業着のまま授業に行ったこともあった

冬なのに、一人だけ現場焼けで真っ黒な顔

自分はこの仕事に向いていないんじゃないか

コピーライターになんて、やっぱりなれないんじゃないか

・・・何度思ったことか

いま思えば遠い昔のこと

こうしてその肩書きで生きていられることを本当に想像できていただろうか

そんな頃にわが家の家族になった犬だった

その頃のワタクシを良く知っている犬

「オマエはいいよなぁ〜、犬だから将来の不安なんてねぇだろ?」

アホみたいなことを語りかけたこともあった気がする

その犬が甘噛みをやっと覚えた頃、ワタクシの就職先が決まった

そして13年後の今日、その犬は最後にうちの父親も聞いたことのないような

甲高い声を何度か発し、慌てて駆け寄った父親の前で死んでいた

飼っていた犬が死ぬのはこれで2度目だ

一匹目の犬の最後は、老衰で弱り果て、寝たきりになって

体中の毛がむしれて床ずれだらけだった

死ぬ間際は何度も遠吠えをしていた

絶え絶えの息になった犬を抱いて病院へ行き

結局、安楽死の注射を打ってもらった

見ていられなかった両親が泣く泣く医者にお願いしたからだ

うちで飼っていた犬とは思えない

一匹の野生の獣というような形相で固まったまま動かなくなった

二度と動物は飼うまいと誓った

なのにしばらくして二匹目を飼いたいと家族が言い出した

オレとばあちゃんは猛反対した

でも飼うことになった

そしてちっこい大型犬の子犬がわが家へやってきた

恐ろしいほどかわいかった

負けを認めて世話をするようになった

一匹目はトモ、二匹目はジュリ

どっちも最後まで、うちに来た感想は言ってくれなかった

当たり前だが、二匹が何を考えていたのか

飼い主でありながら想像すらできない

足をバタバタさせていたのも

気持ちいいからじゃなく、痛ぇよ!ってことだったかもしれない

そういえば、ワタクシがはじめて人様から褒められたコピーも

ペットにまつわるテーマを表現するものだった

「一度だけ話せるとしたら、なんて言いますか?」

それは、人間に対してだけではなく、わが家へ来た犬に対しても聞きたいことだった

そして改めて

「人間って、どうよ?」「今のオレってどうなのよ?」

と聞いてみたいと思っていた

聞いてみたところで答えてくれるはずもない

そして答えてくれないまま

ほぼすべてのペットはたいてい飼い主よりも先に死んでいく

ペット:飼ってかわいがっている動物。愛玩動物。

辞書にはそう書いてある

ずいぶん一方的な人間目線の解釈だ、と言えなくもない

13歳ってことは人間で言うと・・・少なくともワタクシより相当年上だろう

間違いなく精神年齢では

そんな精神的先輩の最後に立ち会うことすらしなかった

明日、母親がお墓に埋葬に行くらしい

人は、人以外にかわいがる存在が本当に必要なんだろうか?

かわいがっているつもりでも、相手にとっては迷惑なだけなんじゃないだろうか?

何もかも分からないまま、最後まで会話すらできねーし。。。

そんなことを考えながら、そんな報告を受けながら

今日もコピーライターとしての仕事をしていた

・・・長っ!

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